絵本の「読み聞かせ」を日常に取り入れて視覚刺激から文字の習得を~バイリンガル子育て1~

バイリンガル子育て
近年、留学や移住などがしやすくなったことで、国際結婚や海外で暮らす日本人が増え、結果的に“バイリンガル”と呼ばれる子どもが増えています。もちろん、日本に暮らしている日本人家庭でも、バイリンガル教育に力を入れている人もたくさんいるでしょう。日本に住んでいても、小さいころから外国語を学ばせることで、子どもを“バイリンガル”にさせることは可能です。しかし、日本人の親として子どもをバイリンガルにさせるために、日本語をどのように習得、保持、または向上させていくかということは、常に頭を悩ましている課題なのです。国際結婚をし、海外で子育てをしている私の経験談を紹介しながら、バイリンガルで子育てすることついて考えていきます。
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バイリンガルとは?

バイリンガルとは「2つの言葉(を使用する能力をもっている人)」という意味の英単語です。言葉には話す、聞く、書く、読むの4つの要素が含まれていますが、全ての要素を2つの言葉ともバランスよく使える人は、ほとんどいないでしょう。たいていのバイリンガルは、どちらか1つの言葉が軸になり、もう1つの言葉を同時に、または後から習得していきます。
子どもが小さいうちは、2つの言葉を話したり、聞いたりできるだけで、バイリンガルとしては十分です。しかし、就学するころから、書いたり、読んだりすることが必要となってきますから、子どものうちにバイリンガルにさせたい場合は、この読み書きをどの程度まで習得させるかを親が判断しなければならなくなってきます。
子どもが2つの言葉を同時に勉強するということは、とても負担になってきますので、たいていの親は、軸となる言葉の4つの要素に重点を置き、もう1つの言葉は子どもの負担にならない程度に学習させていきます。結果的に、2つの言葉を同じように使えるバイリンガルにはなれないかもしれませんが、それが普通ですし、むしろ、軸となる言葉を大事にすることこそ、実は一番重要なのです。

バイリンガルが就学前までにしておきたいこと:文字の習得

文字の習得は視覚からの刺激が大切
国際結婚や親が海外で暮らすことで、子どもがバイリンガルになる場合、日本人の親なら日本語の習得が心配になります。まず、家庭内での言葉です。日本人の家庭でしたら、家庭内は日本語、外では現地の言葉となるので、日本語を聞いたり、話したりする機会は増えます。しかし、私の家庭のように、日本語を使える人が私だけの場合は、努力して子どもたちに日本語で話していかなければ、日本語の環境を作ってあげることができません。文字の習得に関しては、日本人家庭であっても、片親が日本人という家庭であっても、親の努力が必要という点では同じです。文字の習得は視覚からの刺激が大切ですが、海外で暮らしている場合、日本語が目に入ってくることは少ないからです。
私の場合、息子が生まれたときから、本の読み聞かせを毎晩することを決めていました
それは、文字の習得のためというわけではなく、ただ単純に、息子が本に興味を持ってくれればいいなと思ったからです。最初のうちは日本語の絵本だけでしたが、そのうち、自分で好きな本を持ってきてもらうことにしたので、それが英語の本だったり、中国語(以前は台湾に住んでいました)の本だったりもしました。

何も教えなくても習得していた娘

読み聞かせ
そして、娘が生まれてからは、それぞれ1冊ずつ読んでいましたから、子どもたちにとっては2倍の読み聞かせになりました。疲れて読みたくない日もありましたが、嬉しいことに子どもたちは毎晩、この読み聞かせを楽しみにしており、読み聞かせがないと寝られないほどでした。親としては嬉しい悲鳴ですが、私が本当に疲れているときは主人に頼みました。でも、実は男の人の読み聞かせも子どもたちにはいい刺激になるらしいですよ。
そして、この読み聞かせが、実は子どもの文字の習得に役に立っていたのです。息子は初めての子どもでしたので、私が文字を一所懸命教えました。時間のあるときにひらがなやカタカナを書かせたり、50音のカルタなども一緒に遊びました。ですから、息子が文字を習得できたのは必然でしたが、娘にはあえて何も教えませんでした。
ところが、ある時、紙に自分が知っている文字を書き始めたのです。そしてその文字を読み始めました。私以外、日本語を教える人がいない環境で、どのようにして読み書きを習得したのかと不思議でしたが、本読みをしているときに気づきました。なぜなら、娘が自分で本の文字を指さし、読み始めたからです。娘は私が絵本を読んでいるとき、絵だけでなく、文字も目で追っていたのだとわかりました。そして文字と音を一致させることで、この文字はこう発音し、こういう形なのだということを頭の中で処理していたのです。読み聞かせは、視覚からの刺激という環境を作り出すことができるのです

書く、読む、をやらせる前に読み聞かせを

子どもをバイリンガルの環境で育てている家庭では、日本語の習得をどうしたらいいのかと悩んでいる親がたくさんいると思います。子どもに文字を書かせたり、読ませたりする前に、まず、本の読み聞かせをしてみたらどうでしょうか。そして、本の読み聞かせは、文字の習得だけでなく、子どもの語彙力の増加にも繋がるのです。
次回は語彙力についてお届けしたいと思います。
Mao

Mao Profile
海外在住歴15年。子どもたちがバイリンガルで育っていく姿をみて、自らバイリンガル教育について理解を深めたいと思い、30代で大学院に通い始め、2016年にやっと言語学博士号を取得。現在、中学生の息子と小学生の娘を連れて親子でドイツ留学中。
https://soccer-mama.com

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