子どもに牛乳は必要か(4)~牛乳が生産されるまで~

「牛乳」と聞くと、“広い草原でゆっくりと草を食む牛から搾乳している光景”を思い浮かべる方も多いと思いますが、実際は自然とはかけ離れた環境で飼育されているのが現状です。成長ホルモン剤、抗生物質の問題も度々取り上げられています。学校給食で使われる牛乳はどのようなものでしょうか?

現代の日本の牛乳について知っておくべきこと

日本において「牛乳は身体に良い」という話は今や神話となりつつあり、アレルギー症状を引き起こしたり、精神に影響を及ぼしたりと、私たちの身体には好ましくない食品であることが分かってきています。
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それは特に私たち日本人の9割近くの方が、牛乳に含まれるタンパク質を上手く分解出来ない乳糖不耐症であることにも起因しているということは前回までに書かせて頂きました。
これまでの牛乳シリーズをまだお読みではない方は、ぜひこちらからお読みください。
第1回「子どもに牛乳は必要か(1)~アメリカの消費量は減少傾向!!~」
第2回「子どもに牛乳は必要か(2)~離乳期以降は牛乳を消化できない体に変わっていく?!~」
第3回「子どもに牛乳は必要か(3)~牛乳摂取をやめたら自閉症が改善した?!~」
今回は、それに加えて私たちが知っておくべき日本の一般的な家畜飼育システムと、そこで育てられた牛の牛乳を飲むことによる影響について考えていきたいと思います。

学校給食で出される牛乳の実態

一般的に学校給食で出される牛乳は、人間の手が多く加えられて育てられた牛から搾乳しています。つまり、抗生物質や成長ホルモン剤の投与が行われているということを意味します。
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例えば成長ホルモンに関して言うと、これらの牛には赤ちゃんが1日1キログラム体重を増やすために必要な、IGF-1と呼ばれる成長ホルモンが飼育の過程で投与されています。
その成長ホルモンを摂取しながら育ってきた牛から搾乳された牛乳には、当然のことながらIGF-1が移行します。つまり私たちは、牛乳を飲むことでIGF-1を体内へ入れてしまうことになります。
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そのことによる悪影響の一つに、乳がんの発症が挙げられています。IGF-1と乳がん発症の相関性に関する研究は既に数多くなされており、現在牛乳は乳がんのリスク・ファクター(その病気を起こしやすい因子)として位置付けられています。
さらに、牛たちは放し飼いではなくストールという区画内で一生を過ごす舎飼いが一般的であり、現代の日本における一般的な牛たちの成育環境は自然と大きくかけ離れているのが現状です。
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このようにして育てられた牛たちの健康状態が決して良いとは言えません。そして、そうした牛たちの牛乳が、学校給食では出されているのです。

牛乳に含まれる女性ホルモンの問題も

日本に流通する牛乳のおよそ8割は妊娠牛から搾ったものであることも気がかりな点です。なぜなら、女性ホルモンが多く分泌されている牛(妊娠牛)からの牛乳であるため、その女性ホルモンが牛乳へ移行していることが懸念されるためです。
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女性ホルモンに加え、先述の成長ホルモンが多く含まれた牛乳を飲むことにより、卵巣のう腫や子宮筋腫、月経前症候群、月経痛、男性の無精子症などの原因になることが指摘されているのです。

モンゴルの遊牧民の牛乳とは異なる日本の牛乳

私たち日本人とは異なり、歴史的に昔から牛乳を摂取してきた民族、例えばモンゴルの遊牧民は牛乳などの乳製品が主食となっているそうです。しかしながらその例から、「牛乳は栄養豊富で安全な優れた飲み物だ」と結論付けることは出来ません。
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なぜなら、モンゴルの遊牧民が口にしている牛乳は、牛の成育環境から牛乳の製法に至るまで、私たち日本人が一般的に給食などで口にする牛乳とは全くと言ってよいほど異なる条件下で作られたものであることがまず一つの大きな理由です。
その栄養的価値や質が日本人の口にする牛乳とは大きく異なっていると考えられます。加えて日本人は乳糖不耐症が大多数の民族です。牛乳をもともと上手く消化することが出来ません。
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次回は最終章、カルシウムに代表される牛乳の栄養的価値について考えていきたいと思います。
【参考文献】
・内山葉子『子どもの病気は食事で治す』評言社、2015年
・内海聡『子どもを病気にする親 健康にする親』マキノ出版、2014年
・吉冨信長「モンゴル遊牧民の乳製品と健康状態」2016年9月28日記事

By Kocchi


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