子どもの発達障害で悩むお母さんへ~小さな成功体験を増やしてあげよう!~

子どもの発達障害で悩むお母さんへ~小さな成功体験を増やしてあげよう!~
発達障害を持つ子どもとの向き合い方について、前回は「親が困っている時は子どもも困っている」ということをお伝えしました。今回は、「自己効力感」の高め方や具体的なサポートについて。前回の記事も、今回の記事も、発達障害の子どもを持つ親だけでなく、子育て中の方にぜひ知っていただきたい内容です。
前回記事

将来必要なのは「自己効力感」!!~スモールステップで成功体験を増やそう~

子どもの発達障害で悩むお母さんへ~小さな成功体験を増やしてあげよう!~
発達障害の子どもを育てていると「将来、働いて自立した生活ができるのだろうか」と不安を感じる方が多いです。私も息子が小さいころは将来が見えずに不安を感じていました。高校生になった息子をみて断言できるのは、どの子でも、将来のために必要なのは「自己効力感」です。自己効力感とは、「(根拠はないけど)なんとなくうまくいきそう!」とか「自分はこのままでOK♪」と思える力です。
自己効力感が低いと、「自分はきっとうまくできない」「どうせまた失敗する」などと考え、やる気が起きずに続ける気力も湧いてきません。逆に、自己効力感の高い人は、「できそうだ!」「自分ならやれる!」と考え、ポジティブな気持ちで行動するので良い結果にもつながりやすくなります。成功すればまた自己効力感が高まるので、さらにやる気が出てくるといったプラスの流れができます。
自己効力感を高める方法で特におすすめなのが「スモールステップ」です。
発達障害の子どもたちは、周りの子どもと比べると手先が不器用で、身支度が遅かったり、勉強が苦手だったりします。子どもなりに「自分は友達よりうまくできない」と思っている場合もあります。そんな子どもたちに必要なのは、「うまくいった」という成功体験の積み重ねです。最初から大きな目標を立てるのではなく、スモールステップで考えて、階段を一段ずつ上るように、その都度、ほめて・みとめてあげます。
例えば、着替えを自分でやってほしい場合、最初から「一人で着替えられるようになろうね」というのではなく、「今日はボタンが1個、外せたね」「自分で靴下をはけたね」というように細かく分けます。さらに「これならほぼできる」という内容の目標を立てて「できた!」という経験をさせるとさらにGOOD!その積み重ねが根拠のない自信につながります。

自己効力感が高まると、自分の苦手をカバーすることもできるようになる!

人と会話をするのが苦手で、自分から挨拶させたくてもできなかった息子ですが、高学年になってやっと挨拶ができるようになりました。その時の様子を先生から教えていただいたのですが、自分から先生に「おはようございます」と言えたときに「今日は自分から言えた!すごい!」と自分で自分をほめていたそうです。今は自己効力感があるおかげで、「自分はこれが苦手だけど、こう工夫してくれればできる」と自分の苦手さをカバーする手段まで言えるようになりました。
それぞれの子どものペースで小さなできたことをほめて・みとめてあげることで、子どもは自信がつきます。みんなと同じようにできることが目標ではないと思います。あせらず見守ってあげたいですね。

発達障害の子どもが安心して暮らせるためには、目で見てわかる工夫を

発達障害の子どもが安心して暮らせるためには、目で見てわかる工夫を
発達障害の子ども達が安心して日常生活を送るためには、視覚支援が必要です。視覚支援とは、何をどうするのかを目で見て分かるようにすることです。会話でのコミュニケーションができると「言葉で説明すれば分かる」と思われがちですが、言葉だけで説明されても伝わらない場合が多いです。
例えば、言葉が分からない外国に一人ぽつんと取り残された場合を想像してみてください。どこにいるのか、これから何が起きるのか分からず不安になります。でも、見てわかるマークがあればトイレに行ったり、目的地に行くことができます。メニューが写真になっている店があれば食事をすることもできます。目で見てわかる工夫があると安心しますよね。
何から視覚支援をすればいいのかわからない場合は、「何度教えたらわかるの!」と言いたくなる物事に対して考えるといいかもしれません。おもちゃを片付ける場所を間違える場合は入れ物におもちゃの写真を貼ったり、家に帰ってからやることを忘れる場合は紙に書いて貼っておいたりすると、何度も同じことを言わずにすみます。
息子は時間にこだわりがあったので、目で見えない時間を視覚化する方法をよく取り入れました。幼少期に重宝したのは、残り時間がわかるキッチンタイマーです。時計が読めないときに「この時計の赤いマークが消えるまで遊んでいいよ」「ベルが鳴ったら終わりだよ」と伝えると切り替えが早くできました。砂時計もおすすめです。予定がわからないと「どこに行くの?」「いつ着くの?」と不安になるので、いつもと過ごし方の違う休日や旅行に行く場合はスケジュール表を作りました。今はタブレットがあるので、行くお店を写真で見せたり、時刻表や路線図のアプリを見せることができます。
視覚支援は、絵や写真、文字など本人が分かる伝え方で伝えることが大切です。料理のレシピ本のように写真を撮って順番に並べるだけでもOK!「一生、書いて伝え続けなければいけないかも」と不安になるかもしれませんが、大事なのは今のお子さんの不安を減らしてあげることです。難しく考えずに気軽に始めて、お子さんに合った伝え方を探しましょう。
ただし!
子どもにやらせたいことや直して欲しいことばかりを書くと効果はゼロです。お子さんの不安を減らすための視覚支援なので、優先順位をつけて、一歩ずつ日常生活に取り入れましょう。
By 花石しまりぃ

花石しまりぃ Profile
2001年長男を出産後、育児書通りにいかない子育てに不安を感じ、保健所と医療機関に相談。
3才の時に「広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)」と診断される。以後、病院での療育と家庭での支援を続け、2007年10月 ブログ「しまりーの、ボーダー日記」を開設。
同じ仲間と話を聞きあうことで気持ちが楽になることを体感し、2008年4月「話を共感して聴く」を大切にする親の会「こもれび」を友人と設立。同時に、療育の考え方はコーチングと似ていると感じ、コーチングアカデミー長野校にてコーチングを学びコーチの資格を取得。
現在は、通信制高校の特別支援教育コースの支援員をしながら発達障害の啓発活動に取り組んでいる。

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