モンゴルの子ども達の今と昔(1900年頃から2016年まで)

モンゴルと言えば、大草原が目に浮かぶ方は多いと思います。でも、科学が進歩し、機械に囲まれた生活へ移り変わっているのはモンゴルも同じ。おばあちゃんの世代からの移り変わりの様子をモンゴルのママからお送りいただきました。

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祖母の子ども時代(1900年頃)

モンゴルの子どもたちは、どのように過ごしていたのでしょうか。
まずは祖母の時代からお話したいと思います。

数キロ先の大平原まで出かける日々

祖母は今の私の年齢のときに遊牧生活しており、家畜の乳搾りなどのお手伝いをよくしていたそうです。羊などの家畜に草を食べさせるために、毎日大草原を自由に放浪する家畜について、家から数キロ先の平原まで出かけていたと言います。

主食は乳製品

お腹が空いたときはデール(モンゴルの民族衣装)のポケットに入れた自家製乳製品をなめながら、おなかいっぱいに日々を過ごしていました。主にアーロールという牛乳からできる硬く白いチーズのような乳製品を食べていたそうです。
特に夏場は、乳製品はおいしいランチ代わりになっていたのでした。
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日中は羊の世話をしながら1日外で遊び、時々のお肉料理が楽しみ

また、近くの遊牧民の子どもたちと一緒に出かけることもあり、牧業中に日中は川や石遊びなどをして、日が沈む頃、羊を世話しながら家に帰ってきたものでした。お腹を空かせて帰ったら、お袋の味、お肉料理が待っていました。
ところが現代の子ども達は一日中お肉料理ばかり食べています。「体にはよくない。その先に元気で健康的な習慣が身につけられる心配だ」と祖母はよく話をしています。
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学校には通わずに両親の手伝いをしながら自然とともに生きる遊牧民の生活

祖母が子どもだった頃、地方に学校はなかったため、ほとんどの子どもたちが学校に通うということはありませんでした。両親のお手伝いをしながら一緒に住むのが一般的だったといいます。医学やサイエンスが発展してない1900年ごろには、モンゴル人は家事をしながら体力を付け、大変良い体をして、スマートで元気よく生活していた、と言います。そして、食べ物をはじめ、生活環境となる大自然、家畜と仲良く接していたのが遊牧民の良い習慣の一つだったと言われています。

母の子ども時代(1960年頃)

学校教育が普及

母の時代には、教育を受けるシステムが既に整っていました。この頃、子どもたちはほとんど学校に通っていたようです。
モンゴルでは新学期は9月1日。新学期が始まるにつれて、遊牧民の子ども達は町に出てきて学校の寮か親戚のお家で身をおきながら勉強に励みます。

テレビの放送が始まったが子どもたちは変わらず外で遊ぶ毎日

そして、この時代から都内にテレビが普及し始めました。ただ、この頃のテレビは国営のワンチャンネルのみで夕方から放送を始めていたため、子どもたちは相変わらず外遊びが主流でした。冬場は川や湖でのアイススケートやそり遊び。屋内ではバスケットボールやバレーボール、モンゴル民族相撲取りなどの遊びを通して、コミュニケーションがよくできていたのではないかと思います。
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私の子ども時代(1980年頃)

生活は落ち着いてきたけれど、決まりごとが多く自由の少ない日々

いよいよ私の子ども時代。小さい時は、夏は同級生や近所の友達などとストリートバスケットボールを毎日のようにやっていました。放課後は、学校で1時間~2時間ぐらいは友達と遊んでいました。
学校から帰ってきたら、宿題をしたり、家事の手伝いしたり、夕飯を食べてからテレビをみたり。家でチェスや民族ゲームのシャガイ(羊などの家畜の踝の骨)などで遊んだりしながら、子ども時代を送ったものです。
両親の話をよく聞き、いつもいい子になるようにがんばっていましたが、ある意味、自由はなかったように思えます。
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娘の時代(2016年・現在)

テクノロジーの発展で外で遊ぶ子どもたちは減少

最後に私の娘。現在4歳です。
著しい発展を遂げたテクノロジーの時代を生きる現代の子ども達は、私たちの時代と比較すると、様々な機械に囲まれた環境に住むように強いられています。自宅にはテレビ、パソコン、iPad、などなど。電磁波は常に子ども達に悪影響を与えているように思えます。
今ウランバートル市では、外で遊ぶ子ども達が減少傾向にあり、ほとんどの子どもたちが自宅でパソコンゲームやり、親の携帯をいじり、iPadで好きな映画を好きな時間に見たりして過ごしています。
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車の数が増えて子どもに危険な環境

町では車が多く、子どもにも大変危ない環境になりつつあるのが現状です。
これからは私たち親が、子ども達に優しい環境づくりと正しい知識を広め、子どもを守って行かなければならない、と強く感じています。
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By  バトスフ ボロルトヤ@モンゴル


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